「住宅省エネ2025キャンペーン」で、家計にやさしい省エネリフォーム

原油価格高騰にともない、電気代やガス代も高止まりになっていますが、省エネリフォームをすると日々の光熱費が削減でき、節約できるようになります。
省エネリフォームは、「住宅省エネ2025キャンペーン」という補助金制度を活用すると、導入コストも軽減可能です。
この記事を読むと、住宅省エネ2025キャンペーンでどのくらいの補助を受けられるのか、その詳細と申請の手順や注意点までわかります。
1. 住宅省エネ2025キャンペーンとは?

「住宅省エネ2025キャンペーン」は4つの事業で構成されています。
まずは、事業ごとの補助金額や対象工事について解説していきます。
(1)どんな支援制度?
2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、「国土交通省」「環境省」「経済産業省」の3省が連携して家庭の省エネ化を強く推進していく支援制度が、住宅省エネ2025キャンペーンです。
予算や補助金、申請時期などの正式決定は国会の補正予算成立後になりますので、2025年2月17日時点の情報についてお伝えしていきます。
① 予算と概要
・「子育てグリーン住宅支援事業」
予算:新築1,850億円(長期優良住宅・ZEH水準住宅分:1,350億円/GX志向型住宅分:500億円)、リフォーム400億円 ※令和6年度補正予算(案)
概要:省エネ住宅工事を行う新築住宅、リフォーム住宅が対象
※昨年はエコキュートやエコジョーズ、ビルトインガスコンロやレンジフード、節水型トイレなどの設備導入も対象となっています。
・「先進的窓リノベ2025事業」
予算:1,350億円 ※令和6年度補正予算(案)
概要:断熱性能に優れた窓やドアのリフォーム工事が対象
・「給湯省エネ2025事業」
予算:580億円 ※令和6年度補正予算(案)
概要:高効率な給湯器であるヒートポンプ給湯機(エコキュート)、ハイブリッド給湯器、家庭用燃料電池(エネファーム)の導入工事が対象
・「賃貸集合給湯省エネ2025事業」
予算:185億円 ※令和6年度補正予算(案)
概要:賃貸集合住宅の給湯器をエコジョーズやエコフィールへ交換する工事が対象
② 住宅省エネキャンペーンの交付申請はいつから?
交付申請期間は正式に決まっていませんが、2月17日現在、子育てグリーン住宅支援事業の公式Webサイトでは、交付申請は2025年3月下旬から、受付締め切りは12月31日までと記載されています。
締め切りについては、予算上限に達した場合12月31日を待たずに終了となりますので注意が必要です。
工事期間については2024年11月22日以降が対象になりますので、すでに省エネリフォーム工事が完了していても申請できます。
ただし、住宅省エネ2024キャンペーンで補助金の対象になっている場合は申請できません。
補正予算成立後に正式な情報が公式Webサイトに公開されますので、「住宅省エネ2025キャンペーン」でこまめに検索して、最新情報が更新されていないか確認するのがいいでしょう。
③ 住宅省エネ2025キャンペーンを活用するメリット
住宅省エネ2025キャンペーンを活用するメリットは、補助金が交付されるので、イニシャルコスト(設備導入費)を軽減できることです。
高効率給湯器は、既存のガス給湯器や電気温水器よりも光熱費を節約してくれますが、導入するのが高額になるという側面があります。
補助金を活用することで、家計にやさしい省エネリフォームを実現できるのです。
(2)事業ごとの内容と変更点
4つの事業の概要、補助金額、2024年の制度からの変更点について解説していきます。
① 先進的窓リノベ2025事業
断熱性能の高い窓にリフォームする際の補助で、窓のリフォームと同時に行う場合に限り、玄関ドアのリフォームも対象に含まれます。
対象リフォーム工事:内窓の設置、外窓の交換、窓ガラス交換、玄関ドア交換
補助金額上限:1戸あたり200万円(対象費用の1/2まで)
※補助金額が5万円未満の場合は対象外。
2024年との変更点:先進的窓リノベ2024事業からの大きな変更点はありません。
② 子育てグリーン住宅支援事業
省エネリフォームまたは省エネ性能の高い新築住宅への補助です。
<リフォームの場合>
対象リフォーム工事:【必須工事】1・開口部の断熱改修 2・躯体箇所の断熱改修 3・エコ住宅設備工事(1~3のうち2つ以上の工事を行うことが補助条件)
【付帯工事】4・子育て環境整備工事 5・バリアフリー改修 6・空気清浄・換気機能付エアコン設置工事(4~6は必須工事と同時に行う場合に限り対象)
補助金額上限:1戸あたり60万円(必須工事を3つすべて行った場合)、40万円(必須工事のうち2つの工事を行った場合)
<新築の場合>
すべての世帯を対象に、GX志向型住宅であれば1戸あたり160万円が交付されます。
子育て世帯であれば、長期優良住宅で1戸あたり80万から100万円、ZEH水準住宅で1戸あたり40万から60万円の補助金が交付されます。
2024年との変更点:2024年の子育てエコホーム支援事業では世帯の年齢によって補助金額が異なりましたが、2025年の子育てグリーン住宅支援事業ではすべての世帯が共通となります。
③ 給湯省エネ2025事業
高効率給湯器の交換工事への補助です。
戸建て住宅であれば1戸2台まで、共同住宅であれば1台までが対象です。
基本額の他に、要件を満たす性能であれば補助金が加算される仕組みです。
対象リフォーム工事:エコキュート(ヒートポンプ給湯機)、ハイブリッド給湯機、エネファーム(家庭用燃料電池)
補助金額上限:エコキュート 6万から13万円、ハイブリッド給湯機 8万から15万円、エネファーム 16万円から20万円
※高効率給湯器導入と同時に蓄熱暖房機を撤去する場合1台8万円(2台まで)、電気温水器を撤去する場合1台4万円の補助金も申請できます。
2024年との変更点:給湯省エネ2024事業と比較すると補助金の基本額は下がっていますが、性能加算額が昨年より上がっています。
蓄熱暖房機と電気温水器の撤去加算額は昨年よりも下がっています。
④ 賃貸集合給湯省エネ2025事業
賃貸集合住宅の省エネ小型給湯器交換工事への補助ですので、賃貸住宅のオーナーが対象になります。
追い焚き機能がある場合やドレン水排水工事を含む場合は、補助金額がアップします。
対象リフォーム工事:エコジョーズ、エコフィール
補助金上限:追い焚き機能あり 1台7万(※ドレン水排水工事の場合10万円)、追い焚き機能なし 1台5万(※ドレンレールを敷設の場合8万円)
2024年との変更点:賃貸集合給湯省エネ2024事業と比較すると、1棟あたりの取り替え台数が2台以上から1台以上となり、申請台数要件が緩和されています。
また、ドレン水排水工事などを含めた場合は補助金額が上がります。
2. 補助金を活用した省エネリフォームの流れとポイント

住宅省エネ2025キャンペーンで補助金が交付されるには申請が必要です。
申請が自分でできるのかと不安になるかもしれませんが、難しいことはありません。
申請交付の一連の流れについて解説していきます。
(1)リフォーム内容の検討
まず、どんなリフォームを行うのか検討します。
たとえば、今お使いの給湯器が購入して10年以上経過しているようであれば、耐用年数ギリギリですので、この機会に交換するのがおすすめです。
(2)施工業者の選定
続いて、どこで購入して、設置工事を行ってもらうのか、施工業者を決める必要があります。
ここで、もっとも注意しなければならないのは、住宅省エネ2025キャンペーンの登録事業者で購入・工事を行わなければ申請ができないという点です。
施工業者を決める際には、業者がWebサイトで公開している住宅省エネキャンペーンの補助金活用事例をチェックしたり、事前に登録業者なのか問合せをするといいでしょう。
(3)補助金申請の条件を確認
住宅省エネ2025キャンペーンの対象リフォーム工事であるのかどうか、性能によっても補助金額が異なりますので、どれくらい補助金額が交付されるのか、詳細について業者と確認します。
製品によっては対象外の場合もありますので注意してください。
(4)申請に向けた工事のタイミングの検討
補助金の交付申請は、あくまでも省エネリフォーム工事が完了し、引き渡し後になります。
年末だと工事が間に合わなくなったり、補助金申請額が予算の上限に達していて受付終了になってしまう可能性がありますので、工事のタイミングは余裕を持ってスケジューリングをするのがいいでしょう。
(5)地方自治体の補助金との併用を検討
住宅省エネ2025キャンペーンは地方自治体による補助・助成事業との併用が可能です。
2024年には久留米市の住宅リフォーム助成事業が4月と9月に実施された例もあります。
地元自治体で予定されている事業を事前に確認して、スケジュールを立てることも重要です。
(6)他にも併せてできる工事がないか検討
子育てグリーン住宅支援事業では外壁や屋根、天井の断熱改修工事が対象となりますので、状況によっては足場を組む工事になります。
足場代は高額ですので、もし他にも足場を組む補修工事などを予定しているのであれば、一緒に済ませるとお得です。
(7)申請と手続きの流れ
リフォーム工事完了、引き渡し後に補助金交付申請の流れになりますが、申請の手続きについては業者が行いますので個人で行う手続きはとくにありません。
対象工事が省エネ基準に適合しているのかどうかなど、疑問点がある場合は、省エネリフォームを依頼する業者に質問して確認してみてください。
補助金交付決定となれば決定通知が送付されてきます。
補助金は申請した業者に振り込まれ、購入者に還元される仕組みです。
(8)必要書類
補助金交付申請に必要な書類(共同事業実施規約・工事請負契約書・本人確認書)はすべて業者が用意し、申請してくれますので、内容を確認したうえで捺印して業者に返送します。
本人確認書としては、マイナンバーカードや運転免許証、住民票のコピーを用意しておく必要があります。
(9)注意するポイント
注意すべき点は、住宅省エネ2025キャンペーンの登録業者でなければ申請できないため、事前確認が必要なことと、11月下旬には受付を終了する登録業者も多いので余裕を持って着工するようにすることの2点です。
住宅省エネ2024キャンペーンは2024年12月31日をもって交付申請の受付を終了しました。
終了時点の予算到達率は、子育てエコホーム支援事業2024が98%、給湯省エネ2024事業が97%でした。
撤去加算については100%に達したため、予定よりも早く受付を終了しています。
住宅省エネキャンペーンは2023年からの継続事業のため、登録事業者も手続きに慣れてきており、2025年は早めに予算上限に達する可能性もありますのでご注意ください。
3. よくある質問

続いて、それぞれの事業について、よくある質問を解説していきます。
こちらは、2024事業の継続内容や2025年2月現在で発表されている2025事業の内容から作成しております。
今後内容が変更となる可能性もありますので、最新情報については、相談窓口または公式サイトで確認してください。
樋口建設へも、お気軽にご相談ください。
(1)住宅省エネキャンペーン全体
Q1:住宅省エネ2025キャンペーンの最新情報はどこで確認できますか?
国土交通省や経済産業省の公式サイト、補助金ポータルサイトで確認できます。
Q2:交付申請は費用がかかりますか?
交付申請費用を事務局が請求することはありません。
ただし、申請時に必要になる証明書類の準備には費用がかかることがあります。
Q3:補助金を受け取るまでどのくらい日数がかかりますか?
申請から工事完了まで3~6か月程度かかる場合があります。
Q4:リフォーム以外の省エネ設備購入も補助金対象ですか?
子育てエコホーム支援事業では、新築の場合のエコキュートや高効率給湯器などが対象になる可能性があります。
Q5:他の省エネ補助金と併用できますか?
地方自治体の補助金と併用できるケースがありますが、事前確認が必要です。
Q6:工事前写真を撮り忘れましたが申請はできますか?
原則、必要書類が提出できない場合は申請できません。
特別な理由がある場合等、1事業者1つの交付申請に限り「工事【前】写真・提出免除依頼書(給湯器用)」の提出により、工事前写真の提出が免除されます。
なお、工事後の写真や銘板写真の提出免除はありません。
(2)先進的窓リノベ事業
Q:先進的窓リノベ2025事業と子育てグリーン住宅支援事業はどちらがお得ですか?
どちらも断熱リフォームに適用できる点が共通しています。
ただし、先進的窓リノベ2025事業については求められる窓の性能が高い分だけ補助金の上限も高いため、高性能な窓のリフォームに関しては先進的窓リノベ2025の方がお得です。
(3)子育てグリーン住宅支援事業
Q1:子育て世代以外にも適用されますか?
2024年の事業ではリフォームに対して世代によって補助金の上限が異なりましたが、2025年については世代についての条件は撤廃されていますので、どの世代でも等しく交付されます。
ただし、新築住宅については、子育て世代は長期優良住宅やZEH水準住宅であっても対象になのに対し、他の世代ではGX志向型住宅のみが対象になります。
Q2:GX志向型住宅はどのような基準になりますか?
長期優良住宅やZEH水準住宅よりも高い断熱性能と省エネ性を求められる住宅です。
具体的には、断熱等性能等級6以上、省エネは再エネを除いた一次エネルギー消費削減率35%以上、創エネは再エネを含む一次エネルギー消費削減率100%の自給自足型住宅になります。
(4)給湯省エネ 2025事業
Q:給湯省エネ2025事業と子育てグリーン住宅支援事業ではどちらがお得ですか?
高効率給湯器導入についてどちらでも対象となっていますが、子育てグリーン住宅支援事業はあくまでも必須項目を満たしたうえで給湯器も対象に含むのに対し、給湯省エネ2025事業は給湯器導入のみで交付されます。
求められる省エネ性能は給湯省エネ2025事業の方が高い分、補助金も高く設定されているのでお得です。
(5)賃貸集合給湯省エネ2025事業
Q1:社宅は対象になりますか?
対象になります。ただし、借り上げ社宅は、賃貸集合住宅の所有者に該当しないので対象になりません。
Q2:戸建て賃貸や分譲住宅は対象になりますか?
どちらも対象になりません。
Q3:テナントは対象になりますか?
対象になりません。住宅目的ではないオフィス等への賃貸(テナント)は対象外です。
Q4:工事を行う部屋が空室でも対象になりますか?
対象になります。むしろ入退去のタイミングに合わせるのが効率的です。
Q5:機能を下げた給湯器への取り替えは対象になりますか?
対象になりません。給湯、追い焚き、暖房、オート・フルオートなどの機能が低下する機器への取り替えは対象外です。
また、能力(号数)が小さいエコジョーズへの取り換えも対象となりません。
同一能力、または能力が向上する場合のみ対象となります。
4. まとめ

耐用年数を過ぎている外壁や窓、給湯器の交換や光熱費を抑えられる省エネ性能の高いリフォームについては、住宅省エネ2025キャンペーンの4つの事業を活用するとお得です。
今後、最新の情報が更新されていきますので、公式Webサイトが公開されたら、常に確認していくのがいいでしょう。
住宅省エネキャンペーンの申請は、登録事業者でないと申請ができません。
補助金を活用した工事に慣れている信頼できる業者に依頼することをおすすめします。
予算上限に達すると締め切り前に受付が終了することがあるので、ギリギリのタイミングではなく、余裕を持ったスケジュールで申請しましょう。
著者:新原 円香プロフィール

2000年樋口建設に入社。
1982年に父が樋口建設を立ち上げ、小さなころから、建築現場を目にしてきました。
19歳から本格的に建築の道に進み、21歳で宅建士、27歳で建築士の資格を取得。
住宅リフォームに関する技術的な知識と住宅リフォームをご検討の一般消費者の方のご相談に応じるために住宅リフォームエキスパート(増改築相談員)、戸建住宅劣化診断士などの資格も取得。
お客様が安心してご相談いただける環境づくりを積極的に行っています。
長年父と二人で工務店を営んできましたが、父も高齢で引退。
現在は、主人と、息子と三人で力を合わせ、「お客様の想いを大切にし、リフォームをさせて頂く。ものではなく、心に寄り添うリフォーム業者でありたい」をモットーに地元密着の工務店として荒木町でより一層、努力精進させていただいております。
- ・二級建築士
- ・宅地建物取引士
- ・住宅リフォームエキスパート(増改築相談員)
- ・戸建住宅劣化診断士
- ・リフォーム瑕疵保険団体検査員
- ・建築物石綿含有建材調査者