「離れて住んでいても頼める?」実家リフォームのコツと予算

「親が住む実家をリフォームしたいけれども、遠方に住んでいるのでどう進めればよいのか分からない…」
そんなお悩みを抱える方も多いのではないでしょうか?
親の高齢化や家の老朽化が進むなか、安全で快適な暮らしを実現するためのリフォームは大切なステップです。
この記事では、遠方からでもスムーズに実家リフォームを進めるコツや予算の考え方を、詳しく解説します。
補助金を活用した具体例をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次 [閉じる]
1.実家リフォームが必要になる理由

親の高齢化や家の老朽化、快適性の向上など、実家リフォームが求められる理由はさまざまです。
まずは、その主な理由と背景を解説します。
(1)親の高齢化に伴う安全性の確保
親が高齢になるにつれて、家の中での安全性が大きな課題となります。
転倒リスクを減らすために、廊下や階段のバリアフリー化、手すりの設置、段差の解消などが必要です。
また、親の健康状態や生活習慣に合わせた住まいの見直しをおこなうことで、安心して暮らせる環境を実現できます。
(2)家の老朽化や耐震構造の強化
長年住んできた家は、老朽化による雨漏りや壁のひび割れなどが生じやすくなっています。
とくに、地震対策として耐震性能を高めるリフォームは、高齢の親にとって安全な住環境を整えるうえで欠かせません。
2025年の建築基準法改正では、大型リフォームに建築確認が必要になり、最新の耐震基準への適合が求められます。
築年数が経過した住宅ではリフォームにあわせ、耐震補強が必要になるケースが増えるでしょう。
(3)快適性や利便性の向上
高齢者が快適に暮らすには、家事負担を軽減し、生活の質を向上させるリフォームも重要です。
たとえば、断熱改修による冬の寒さや夏の暑さの軽減、エネルギー効率を高める省エネリフォームなどが挙げられます。
家全体が快適な空間に変わることにより、親が毎日より楽に過ごせるようになります。
(4)親子の関係性とライフスタイルの変化
親が「住み慣れた家に住み続けたい」という思いを持つ一方で、子ども世帯は将来的に実家を受け継ぐことを考えたリフォームを希望するケースもあります。
このような場合は、今後の住人のライフスタイルの変化を踏まえ、親子間で希望や計画をすり合わせたうえで、両者にとって最適な形のリフォームを実現することが重要です。
2.補助金を活用したご実家のリフォーム事例

ここでは、福岡県久留米市にあるご実家を、補助金を活用してリフォームした事例をご紹介します。
(1)鹿児島県に住むお子様からのご依頼

本事例は、久留米市にあるご実家のリフォームをご希望された鹿児島県在住の娘様からのご依頼でした。
お母様は高齢で耳があまり聞こえない状況であったため、打ち合わせはすべて娘様を通じておこないました。
補助金の活用を希望されており、遠方からでも安心して進められるよう、迅速な対応を心がけました。
(2)実際に依頼主様にお会いしたのはたった2回

実際に依頼主様にお会いしたのは、現地調査時と工事中の計2回のみで、他はメールでやり取りをおこないました。
仕様についてはカタログや色見本を郵送し、ご要望を確認。
工事期間中はほぼ毎日メールで進捗報告や写真を共有し、娘様が遠方からでも安心できるように努めました。
(3)活用した補助金

当初は久留米市のリフォーム補助金を申請する予定でしたが、補助金申請に時間がかかることもあり、早期着工を希望されました。
その結果、補助金の申請は国の施策である「子育てエコホーム補助金(2024年度で終了)」のみおこなう形になりましたが、申請手続き等に問題がなく、無事に補助金を活用することができ、十分にメリットを感じていただくことができました。
(4)予算内におさめる工夫

依頼主様からは「予算内におさめたい」とのご要望がありました。
他社の見積もりが揃わないなか、私たちとお客様で知恵を出し合い、予算に合ったプランを構築。
小さな工夫を重ねたことと、メーカーの数量限定品や在庫分の商品が運良く活用できたことなどもあり、可能な限り予算を調整し、納得いただけるリフォーム内容となりました。
十分な強度や安全性能を得るための品質に妥協はできませんが、ご予算に合うご提案をさせていただきます。
3.実家リフォームを円滑に進めるためのポイント

遠方にある実家のリフォームは、自宅のリフォームとは違う難しさがあります。
ここでは、実家リフォームをスムーズに進めるポイントを解説します。
(1)スケジュール
実家リフォームをスムーズに進めるためには、計画的なスケジュールの調整が重要です。
たとえば、年末年始やお盆休みなどの帰省に合わせてショールームを見学したり、打ち合わせをおこなったりすれば、効率よく進められます。
リフォームが必要な箇所を写真に撮っておくと、現場に同行しなくても、業者に具体的な見積もりを依頼できるのでおすすめです。
なお、大規模なリフォームの場合には一時的な住まいを確保する時間が、補助金を活用するのであれば申請に合わせた工期の調整が必要になるでしょう。
(2)予算
リフォーム予算を効果的に活用するには、柔軟な選択肢を検討することも大切です。
たとえば、部分的でコンパクトなリフォームプランを選べば、コストを抑えやすくなります。
ライフプランや家族の人数に合わせて、減築や平屋リフォームをおこなうことで、長い目で見たときの光熱費や、その後のメンテナンス費用を抑えることにもつながります。
また、予期せぬ追加費用に備え、予備費を確保しておくことも重要です。
リフォームは、壁や床を剥がしたら柱や基礎が傷んでいる、耐震基準の変化に合わせた地盤や耐震構造の改良が必要なことがわかるなど、工事が始まってから思わぬ追加費用が発生することがまれにあります。
親子や兄弟間でリフォーム費用を分担する場合は、事前に予備費を含めて負担割合を明確にしておきましょう。
補助金や助成金については、タイミングによっては申請が間に合わないこともあります。
あてにしすぎず、条件が合えば活用するぐらいの気持ちでいるのが賢明です。
(3)意見のすり合わせ
親が住む実家のリフォーム計画では、実際に暮らしている親の意見を尊重することがもっとも重要です。
とくに、寒さや動線の不便さなど、生活上の困りごとはしっかりとヒアリングしておきましょう。
リフォームを単なる工事と捉えるのではなく、家族のコミュニケーションを深める機会として考え、親子で楽しみながらプランを練ることが大切です。
さらに、見積もり内容を関係者で共有し、全員が納得するまで十分に話し合いを進めることが、満足度の高いリフォームを実現する鍵となります。
(4)補助金・助成金の上手な活用
補助金を上手に活用すると、リフォーム費用を軽減できます。
バリアフリー・介護リフォームや省エネ・断熱リフォームについては、補助金・助成金を活用できる可能性があります。
4.実家リフォーム工事の進め方と費用目安

ここからは、実家リフォームの具体的な進め方と、よくおこなわれる工事の費用・工期の目安などを解説します。
(1)業者に依頼する前にやっておくこと
実家リフォームは、業者に相談する前に、まずは以下を済ませておくとスムーズです。
① 現状の把握とリフォーム箇所の見極め
まずは、家全体の現状を確認し、どの箇所をリフォームする必要があるのかを具体的に洗い出します。
老朽化の程度や親の生活環境を考慮しながら、優先的に手を付ける箇所を明確にしましょう。
② リフォームの要望・優先順位をまとめる
親の希望や家族の意見を取り入れ、リフォームに求める条件をリストアップします。
その際、すべての要望を同時に実現するのは難しい場合もあるため、優先順位を付けることが重要です。
③ おおまかな予算とスケジュールを考える
リフォームにどの程度費用をかけられるのか、おおまかな予算を設定しましょう。
また、工事期間中のスケジュールを事前に調整しておくことで、進行がスムーズになります。
④ 実家の近くの施工業者を調べて絞り込む
実家の近くで信頼できる施工業者を複数リストアップし、それぞれの実績や口コミを調べて比較検討します。
地域密着型の業者は、親身な対応や地元ならではの知識が期待できるためおすすめです。
業者選びの詳細は、第4章で詳しく解説します。
(2)施工業者と一緒に進める内容
施工業者を選んだら、以下の流れで進行するのが一般的です。
① 打ち合わせ
実家が遠方にある場合、電話やメール、写真、オンラインツールを活用して、施工業者との打ち合わせをおこないます。
現地調査に向けた日程調整や要望の詳細を共有し、双方がスムーズに進められるよう、細かにコミュニケーションを取りましょう。
② 現地調査
施工業者が現地調査をおこない、家の状態を正確に把握します。
調査に立ち会えない場合には、写真や動画を活用し、親と施工業者が打ち合わせで話した内容を具体的に確認・共有することが重要です。
③ 契約
現地調査後、施工内容や見積もりに基づいて、リフォーム工事請負契約を締結します。
契約書には工事内容や費用、工期などの詳細が明記されているため、しっかり確認したうえで、不明点があれば必ず質問しておきましょう。
④ 工事開始・進捗確認
工事が開始されたら、施工業者から進捗状況を定期的に報告してもらいます。
写真や動画で作業の進み具合を確認することで、遠方からでも安心して工事を見守ることができます。
⑤ 工事完了
工事が完了したら、仕上がりを確認します。
契約内容に沿った施工がおこなわれているか、仕上げの品質に問題がないかをよくチェックしましょう。
⑥ 保証内容の確認
最後に、施工業者から提供される保証内容を確認します。
アフターサポートの範囲や期間について詳細を理解しておくと、万が一のトラブルにも対応できます。
(3)よくある実家リフォーム工事例|費用相場と工事期間の目安
ここでは、よくある実家リフォームの費用相場と工事期間の目安を紹介します。
なお、実際の費用や工事日数はリフォームの細かな状況により異なるため、実際の費用や期間は見積もりを取るようにしてください。
① バリアフリーリフォーム
実家リフォームでは、高齢の親が暮らしやすくなるように、以下のようなバリアフリーリフォームがよくおこなわれます。
手すりの設置
費用:3万~10万円 / 工期:半日~2日
玄関ドアを引き戸へ交換
費用:30万~50万円 / 工期:1日~3日
玄関スロープの設置
費用:15万~20万円 / 工期:1日~5日
室内の段差解消
費用:5万~10万円 / 工期:1日~2日
② お風呂リフォーム
ヒートショックや転倒事故が発生しやすいお風呂も、実家リフォームでは優先的におこなうべき場所です。
手すりの設置
費用:3万~5万円 / 工期:半日
浴室換気暖房乾燥機
費用:12万~20万円 / 工期:1日
入口の段差解消
費用:2万~10万円 / 工期:1日~3日
③ トイレリフォーム
トイレでは、以下のようなリフォームがよくおこなわれます。
手すりの設置
費用:3万~5万円 / 工期:半日
和式から洋式へ変更
費用:20万~50万円 / 工期:1日~3日
引き戸への変更
費用:5万~15万円 / 工期:1日~2日
④ 暑さ・寒さ対策
夏暑く冬寒い家は、断熱リフォームをすることで快適に暮らせるようになります。
内窓(二重窓)の設置
費用:8万~15万円(1箇所あたり) / 工期:1日~2日
天井の断熱
費用:4千~8千円(1㎡あたり) / 工期:2日~4日
床下の断熱
費用:10万~40万円 / 工期:1日~5日
外壁の断熱(30坪)
費用:500万~800万円 / 工期:2週間~1カ月
⑤ 耐震リフォーム
木耐協によると、耐震リフォーム(耐震補強)の費用平均は、約167万円(中央値140万円)です。
なお、2025年4月には建築基準法の改正が予定されており、大規模リフォームについては建築確認申請が必要になります。
その場合、旧耐震基準で建てられた家については、リフォームにあわせて現行の耐震基準への適合が求められます。
⑥ 老朽化対策リフォーム
住宅の老朽化対策としては、以下のようなリフォームをおこないましょう。
これらは住宅寿命に直結するため、優先的におこなうことが重要です。
雨漏り対策
費用:5万~200万円(程度による) / 工期:3日~10日
外壁塗装
費用:60万~120万円 / 工期:2週間
屋根塗装
費用:30万~80万円 / 工期:1週間
外壁・屋根のリフォームは、同時におこなうと足場代を節約できるのでおすすめです。
5.実家リフォーム工事で使える補助金

実家リフォームでは、以下のような補助金を活用できる可能性があります。
(1)介護保険による住宅改修
手すりの設置や段差解消、和式から洋式トイレへの変更などのバリアフリーリフォーム
補助額上限
18万円/戸
(2)子育てグリーン住宅支援事業
開口部や躯体の断熱リフォーム、エコ住宅設備の設置
(上記工事とあわせておこなう場合はバリアフリーリフォームも補助対象)
補助額上限
60万円/戸
(3)自治体による耐震診断・耐震リフォーム補助金
主に旧耐震基準で建てられた家の耐震リフォーム
補助額上限
自治体ごとに異なる ※久留米市(2024年度)の場合は上限50万円/戸
また、リフォームに対しては、各自治体で独自の助成金・補助金制度を設けていることがあります。
たとえば久留米市では、2024年度は省エネ改修やバリアフリーリフォームに対して、10万円を上限に補助金を交付しています。
なお、補助金を利用するには、それぞれ一定の要件を満たす必要があります。
各補助金の公式サイトなどで内容を確認するようにしてください。
6.親が住む実家をリフォームする場合の、建築会社の選び方

遠方にある実家リフォームは、業者に任せる部分が多くなります。
そのため、建築会社選びは慎重におこないましょう。
具体的には、以下のポイントをチェックするとよいでしょう。
(1)地域密着で親身な対応
地域密着型の工務店は、地元の特性や建物の環境を深く理解しています。
とくに長く続く工務店は、地元の方々に愛されており、親身な対応が期待できるのでおすすめです。
樋口建設は1982年の創業以来、久留米市で40年以上にわたり地域密着型の工務店として信頼を築いてきました。
確かな実績とお客様に寄り添った対応が魅力です。
(2)補助金の活用に積極的
リフォーム費用を抑えるためには、補助金や助成金を活用すると有効です。
補助金申請の手続きや条件に詳しい業者を選ぶと、スムーズな進行が期待できます。
(3)家事や介護に詳しく、きめ細やかな目線で提案してくれる
高齢の親がいる実家のリフォームでは、家事や介護の目線での提案力が求められます。
女性建築士が在籍している建築会社や、介護経験のあるスタッフがいる会社は、家族の生活に寄り添ったアイデアを提供してくれます。
樋口建設では介護経験のあるスタッフが在籍しており、高齢者に配慮した設計が可能です。
(4)確かな技術があり、専門性の高いスタッフがいる
新築工事を請け負える建築会社は、高度な技術を持っています。
リフォーム専門業者では対応できない場合でも、ベテランの大工や資格を持つスタッフがいる会社であれば安心です。
たとえば、「住宅リフォームエキスパート」の資格を持つスタッフがいる業者は信頼できます。
(5)遠方からの依頼にも対応
遠方からの依頼でのリフォーム実績がある業者なら安心して依頼できます。
これまでの対応実績を確認し、事前に要望を徹底的に聞き取ってプランや見積もりを出してくれる業者を選びましょう。
20年、30年先を見据えた費用対効果を考慮した提案があるとさらに安心です。
(6)リフォーム実績が豊富で、長いお付き合いができる
リフォーム業者選びでは、施工実績の豊富さも重要なポイントです。
業者によっては特定の分野に特化している場合もあるため、事前に業者のウェブサイトで施工事例を確認し、バランスの取れた実績があるかを見極めましょう。
とくに、依頼したい内容の施工実績があることは必須です。
また、将来的に親が住む実家で何か問題が発生した際、遠方からでも相談しやすい関係性を築ける業者が理想です。
得意分野のバランスがよく、幅広いリフォームに対応できる業者であれば、長いお付き合いが期待でき安心して任せられます。
7.まとめ

遠方にある実家のリフォームは、まずは修繕が必要な箇所を見極めたうえで、家族の要望も取り入れながら優先順位を付けることから始めましょう。
また、業者に任せる部分が多くなる実家リフォームは、建築会社選びがもっとも重要です。
コストを抑えて満足度の高いリフォームにするには、補助金を活用してのリフォーム実績が豊富な会社を選ぶことをおすすめします。
地域密着型で親身に対応してくれる会社なら、リフォーム後も長く任せられるでしょう。
樋口建設は、福岡県久留米市で40年以上の歴史がございます。
大切なご実家のリフォームも安心してお任せいただけますので、ぜひお気軽にご相談ください。
著者:新原 円香プロフィール

2000年樋口建設に入社。
1982年に父が樋口建設を立ち上げ、小さなころから、建築現場を目にしてきました。
19歳から本格的に建築の道に進み、21歳で宅建士、27歳で建築士の資格を取得。
住宅リフォームに関する技術的な知識と住宅リフォームをご検討の一般消費者の方のご相談に応じるために住宅リフォームエキスパート(増改築相談員)、戸建住宅劣化診断士などの資格も取得。
お客様が安心してご相談いただける環境づくりを積極的に行っています。
長年父と二人で工務店を営んできましたが、父も高齢で引退。
現在は、主人と、息子と三人で力を合わせ、「お客様の想いを大切にし、リフォームをさせて頂く。ものではなく、心に寄り添うリフォーム業者でありたい」をモットーに地元密着の工務店として荒木町でより一層、努力精進させていただいております。
- ・二級建築士
- ・宅地建物取引士
- ・住宅リフォームエキスパート(増改築相談員)
- ・戸建住宅劣化診断士
- ・リフォーム瑕疵保険団体検査員
- ・建築物石綿含有建材調査者